4月の別名は卯月(うづき)。その名の由来は諸説あるが「卯の花」が咲く季節だからという説が有力だ。また、日本人の主食である米の苗を植える月という意味で「植月(うえつき)」とする説もある。
日本には、古くから受け継がれてきた行事や慣習が月ごとに存在する。4月の伝統的な行事といえば「花見」。日本には古来より桜の花を愛でる風習がある。この記事では、日本と桜の関係、桜の見どころをご紹介しよう。
日本人が桜を愛でる花見の風習とは
花見とは、主に桜の花を鑑賞することで春の到来を寿ぐ日本古来の風習である。
花見は奈良時代(710年〜784年)の貴族たちが始めた行事で、当初は中国から伝来した梅を鑑賞するものだったという。桜はもともと稲作の神様が宿る神聖な木とみなされ、鑑賞するというよりも祀るべき対象だった。
「花といえば桜」になったのは弘仁3年(812年)以降。嵯峨天皇が花見の宴を催したことから、桜の花見が主流となった。
やがて武士や町人たちの間でも花見が盛んに行われるようになる。特に武士たちは潔く散りゆく桜の美しさに自らの死生観を投影し、心を寄せた。
この桜を愛でる花見文化は現在も続いている。
全国の絶景桜スポット5選
花見とはわかりやすくいうと、桜を見ながら行うピクニックのようなもの。ただ桜を眺めるだけでもいいが、家族や友人と集い、満開の桜の木の下で食事をするのも楽しいものだ。花見の名所では食べ物を売る屋台が立ち並び、できたての料理を買うこともできる。
また、夜にはライトアップされる花見スポットもある。昼間の桜もきれいだが、ライトアップされた夜桜も幻想的で美しい。より日本的な情緒ある風景を楽しめるだろう。
ここでは、外国人にも人気のある花見スポットをご紹介する。観光地としても有名なので、機会があればぜひ足を運んでいただきたい。
新宿御苑(東京都)
JR新宿駅から徒歩10分の場所にある広さ58.3ヘクタールの広大な庭園。大都会のオアシス的存在で、春には約65種、約1000本の桜が咲き誇る。高層ビルと桜の競演は都心ならでは。桜の種類が豊富で品種ごとに開花期が異なるため、長い期間花見を楽しめる。
上野恩賜公園(東京都)
長い歴史を誇る上野恩賜公園(上野公園)は、江戸時代から桜の名所として親しまれてきた。ソメイヨシノを中心に約800本の桜が植えられ、満開の桜並木は見応えがある。夜にはぼんぼりの明かりに照らされて、ロマンチックな雰囲気を醸し出す。
吉野山(奈良県)
吉野山は山全体が世界遺産に登録されており、世界中から観光客が訪れる。日本3大桜名所の一つで、シロヤマザクラを中心に約200種300万本の桜が山全体を埋め尽くす姿は圧巻。「一目に千本見える豪華さ」という意味で「一目千本(ひとめせんぼん)」とも称される。
円山公園(京都府)
京都市にある最も歴史が古い公園で、京都随一の桜の名所として知られている。園内には約800本のソメイヨシノやヤマザクラなどの桜が咲き、毎年多くの花見客で賑わう。公園の中央にある「祇園しだれ桜」はシンボル的存在で、優美で幽玄な佇まいが人気を集めている。
兼六園(石川県)
日本3大庭園の一つに数えられる兼六園は、桜の名所としても有名だ。春になると約40種420本の桜が次々と花を咲かせる。その中でも4月下旬に見頃となる珍しい品種ケンロクエンキクザクラ、樹齢300年の貴重なケンロクエンクマガイザクラは必見だ。