2月の別名は如月(きさらぎ)。「衣更着(きさらぎ)」とも書き、寒さが厳しく衣を重ね着するという意味を持つ。
日本に古くから受け継がれてきた行事や慣習のうち、2月の伝統的な行事といえば「節分」。節分(2月3日頃)の日には邪気を払い、無病息災を願う風習がある。この記事では、日本の節分の過ごし方について解説しよう。
節分とは
節分には「季節を分ける」という意味があり、季節の変わり目を指す。本来は年に4回(立春・立夏・立秋・立冬の前日)あるが、次第に立春の前日のみを節分と呼ぶようになった。
旧暦(太陰太陽暦)では、立春は1年の始まりとされる重要な日だ。立春の前日は大晦日にあたるため、特に尊ばれるようになったと考えられている。ちなみに、立春は太陽の位置によって定まるので、年によっては変わることがある。
日本では古来より、季節の変わり目には邪気(鬼)が入りやすいとされており、清らかに新年を迎えるために、邪気を払い清めるさまざまな行事を執り行ってきた。
節分の行事は、古代中国の宮中で大晦日に行われていた「追儺(ついな)」という邪を払う儀式がルーツとなっている。日本には文武天皇(697~707年)の時代に伝わり、平安時代の宮中行事として取り入れられた。
もともとは災厄や疫病を鬼に見立て、弓矢で追い払う儀式だったが、室町時代以降、豆をまいて鬼を追い払う行事として発展し、庶民の間にも広まっていった。
豆まきの由来とやり方
節分の代表的な行事である豆まき。なぜ豆をまくかというと、古くから豆には魔除けの力があると信じられていたからだ。さらに、豆は「魔滅(まめ)」に通じ、鬼の目(魔目)に投げつけて、鬼を追い払う(魔を滅する)ことができると考えられている。
豆まきは本来、家長、年男・年女(生まれた年と同じ十二支の年を迎えた男女)の役目といわれていたが、現代では家族全員で行うことが多い。また、鬼は夜にやってくるため、豆まきも夜に行うのが良いとされる。
豆まきの方法は地域や家庭によって異なるが、一般的な例を挙げると、窓や扉を開けて「鬼は外」と掛け声をしながら家の外に豆をまき、払った鬼が戻ってこないよう窓や扉を閉めてから「福は内」と掛け声をかけながら家の中に豆をまく。
通常、大豆を使うが、地域によっては殻付き落花生をまくところもある。かつては米・麦・粟・炭なども用いられていた。現代では、豆だけでなくお菓子をまくことも珍しくない。
豆まきを終わったあとにそこから芽が出るのは「邪気が芽を出す」として縁起が悪いとされるため、生豆ではなく、炒った豆を使うのがならわしだ。炒り豆は「福豆」と呼ばれ、豆まきが終わったら数え年(満年齢に1粒を足した数)の数だけ豆を食べると、年の数だけ福を取り入れて1年を健康に過ごせるといわれている。
節分に行われる豆まき以外の風習
節分には豆まき以外にも行事がある。その代表的なものをご紹介しよう。
恵方巻き
恵方巻きとは、節分に食べる巻き寿司のこと。「縁を切らない」ようにするため、切らずに1本すべてを食べる。もともとは関西の風習だったが全国に広がった。その年の恵方(吉をもたらす方角)を向き、黙って願いごとをしながら寿司を丸かぶりすると、1年間の健康と幸福が叶うといわれている。
柊鰯(ひいらぎいわし)
柊鰯とは、葉のついた柊の枝に鰯の頭を刺したもの。魔除け、厄除けとして玄関先に飾る。これは、鬼が鰯の生臭い臭いと、柊の痛いトゲが苦手なことに由来する。西洋でドラキュラ避けにニンニクを戸口に飾るのとよく似た習慣といえるだろう。