12月の別名は師走(しわす)。昔の日本では、正月前になると先祖の霊を弔う風習があったため、僧侶(法師)が忙しく走り回っていたのが語源とされている。
12月といえばクリスマスを思い浮かべる人も多いだろう。世界中で祝われている冬の一大イベントとなったが、それは日本も例外ではない。ただし、日本のクリスマスにはアレンジが加えられており、独自に発展を遂げている。
今回の記事では、日本のクリスマスの過ごし方についてご紹介しよう。
日本にクリスマスが定着するまで
日本で初めてクリスマスのような行事が行われたのは16世紀のこと。イエズス会のフランシスコ・ザビエルとともに来日した宣教師コスメ・デ・トーレスによって、周防国(現在の山口県)で降臨祭のミサが行われたのが始まりとされる。
しかし、日本ではその後、キリスト教禁止令が発令されたため、クリスマスを祝うことができない時期が続いた。
明治時代に入ってキリスト教が解禁されると、少しずつ庶民にもクリスマスが認知されるようになる。第二次世界大戦が起こると一時的にクリスマスは自粛されたが、戦後になってクリスマスは日本人の年中行事としてすっかり定着した。
日本ではキリスト教を信仰する人が少ないため、クリスマスの宗教的な意味合いはほとんどなく、単なる楽しいイベントとして親しまれている。これは、日本人特有の異文化を広く受け入れる気質の現れといえるだろう。
日本のクリスマスの過ごし方
日本のクリスマス文化は、キリスト教圏の諸国と異なる点が多い。日本ならではのクリスマスの過ごし方をご紹介しよう。
家族よりも恋人とのデートを優先
欧米のクリスマスは、家族が集まって過ごすものだ。しかし、日本では正月に家族で過ごすことが多いため、クリスマスは恋人と過ごす日として認識されている。2人でイルミネーションを見たり、レストランでディナーを囲んだりして、ロマンチックなデートを楽しむ。
クリスマス当日よりもイブのほうが盛り上がる
日本ではクリスマス当日よりも、12月24日のクリスマスイブのほうが盛り上がる傾向にある。そのため、デートやパーティーなどはイブに行われることが多い。その理由として、1980年代に流行したドラマや音楽の影響が大きいと考えられている。
チキンやケーキを食べる
キリスト教圏のクリスマスディナーの定番といえば七面鳥だ。しかし、日本では七面鳥を入手しにくいため、チキンを食べる習慣がある。フライドチキンを求めてファストフード店に長蛇の列ができると聞くと驚くかもしれない。
デザートにイチゴがのったデコレーションケーキを食べるのも日本独自の習慣だ。毎年クリスマスになると、趣向を凝らしたさまざまなクリスマスケーキが店頭に並ぶ。
枕元にプレゼントを置く
子どもたちへのクリスマスプレゼントの渡し方も、日本では一風変わっている。欧米ではプレゼントをクリスマスツリーの下にまとめて置く。一方、日本では子どもたちが寝静まった頃、こっそり枕元にプレゼントを置くのがお決まりだ。サンタクロースがプレゼントを届けてくれたと子どもに伝える家庭も多い。
12月25日を過ぎるとクリスマス装飾を一斉に撤去
日本では12月25日を過ぎると、クリスマスの飾り付けは一斉に撤去される。すぐ後にやってくる正月の準備をしなければならないからだ。一夜明けるとクリスマスのムードはまったくなくなり、クリスマスツリーは正月の門松に取って代わられる。この切り替えの早さは日本独特のユニークさかもしれない。